転機を迎える日本・・人口が減少する中でさまざまな課題に直面しています

人口減少と高齢化

(出所)総務省「平成24年版情報通信白書」(出典)総務省「国勢調査」及び「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計):出生中位・死亡中位推計」(各年10月1日現在人口)、厚生労働省「人口動態統計」

日本の人口は2008年の1億2808万人をピークとして減少に転じました。国立社会保障・人口問題研究所によると、概ね2050年前後に1億人を割り込み、2060年には8000万人台に落ち込むことが予測されています。ちなみに第二次世界大戦によって1944年からの1年間で約230万人の人口減となりましたが、翌年からは人口が回復しています。今後は、2060年まで、毎年80万人以上の人口が平均的に失われていく可能性があるのです。

この間、高齢化も進行していきます。このため、人口減少以上に生産年齢人口は減ることとなります。

温暖化と自然荒廃

(出典)IPCC第5次評価報告書第一作業部会政策決定者向け要約

2015年12月にCOP21においてパリ協定が合意されました。これは、2020年以降の世界の温暖化対策の枠組みを定めるもので、産業革命時と比較した地球の平均気温上昇幅をできれば1.5℃に抑えること、目標の改訂においては改訂前の目標よりも厳しい目標を掲げることに、全世界の196カ国が合意しました。地球の平均気温上昇を2℃以内に抑えるためには、温室効果ガスの排出量を今世紀後半にゼロまたはマイナスにしなければならないことが報告されています。化石燃料に依存してきた従来のエネルギー供給のあり方を大きく変えざるを得ないのです。

(出典)「千葉県イノシシ対策計画」2013年

国内においては、人口減少に伴って、これまで人の手が入ってきた自然環境が劣化することが問題となってきています。イノシシ、シカなど増えすぎた野生鳥獣の管理が課題となっている地域も広がっています。

インフラの老朽化

維持管理を含めたインフラ整備総額は、1965年に5兆円程度でしたが、1995年前後に30兆円を上回る額に達し、近年は20兆円を切る水準に落ち着いています。一気に整備した道路や港湾などが、一斉に耐用年数を迎えます。仮に同じ機能で更新するとした場合、更新・維持管理費は急増し、2030年ごろには現在のほぼ倍の15兆円に達し、その後も20年以上にわたって同水準となると予想されています。

(出典)「館山市の統計」データから作成

人口が減少する局面においても、都市の規模が自ずから縮小することはありません。人口が減少する中でも、都市規模が拡大していき、放っておけば薄く広がってしまうおそれがあります。

地方消滅無縁社会

(出典)国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」2008年3月より作成

人口が減少していくと、人と人とのつながりも薄くなっていくことが懸念されます。たとえば、「1平方キロメートルに何人新生児が生まれるか」という指標をみると、全国平均で1947年に約7人だったところ、2030年には約2.8人まで下がり、全国21道県で2人を切る見込みです。そもそも歩いて行ける範囲に幼なじみ候補生がいない社会が近づいています。また、2010年の31.2%だった単身世帯割合は2030年に37.4%まで増加し、4割がおひとりさまになる状況です。

人と人とのつながりが希薄になっていく中で、孤独死、無縁社会といった問題が深刻化していくことが予想されます。地方自治体という単位でも消滅するところが出てくると指摘されています。